液体水素で実験がしたい 岩谷産業中央研究所,能代ロケット実験場
皆さんの中には,液体水素で実験がしたい,水素事業に乗り出したい,液体水素の施設について学びたい,液体水素施設を持つ機関と共同実験・研究がしたいと思う人はいると思います.
今回は液体水素を扱えそうな施設を調査してみました.その結果,岩谷産業中央研究所とJAXA能代ロケット実験場なら扱えそうだと思いました.
岩谷産業中央研究所
可能な主な液体水素試験
・熱サイクル試験試験片を「液化水素温度(−253℃)⇄常温」の繰り返し熱サイクル耐久試験を行えます.
・液化水素浸漬試験試験片を長期間に渡って液化水素に浸漬させ変化を調べることができます.
・液化水素流通試験バルブやフレキシブルホースなどの機器に液化水素を流通させて動作確認・性能確認を行えます.
アクセス
岩谷産業株式会社
〒661-0965 兵庫県尼崎市次屋3丁目3番16号
JR尼崎駅よりタクシーで約7分,JR新大阪駅よりタクシーで約30分,伊丹空港よりタクシーで約30分
所感
新幹線の沿線にあり,大阪,東京,福岡からのアクセスに非常に優れているように思えます.伊丹空港からのアクセスも優れてるように思えます.最新の研究機器を揃えた最高の水素研究機関だと感じました.あえて欠点を言うとしたら,住宅や他の会社の建物が近くにあるように見え,水素を燃焼・爆発させるような危険な実験は難しいのかもしれないと思いました.
参考文献(全て2021年12月11日閲覧)
https://igaspedia.com/2018/08/27/iwatani-tyuokenkyusyo/
https://sgforum.impress.co.jp/news/4605
JAXA能代ロケット実験場
主な設備
・30㎥液化水素貯槽
実績(一例)
・ハーメチックコネクタ
極低温・高圧環境で用いるハーメチックコネクタの仕様確立と評価を行ったようです.現在は再使用ロケット実験機に適用されて健全性が確認されていようです.
・液体水素 安全基準の策定に寄与する試験
専用のポンプにより昇圧した90MPaの超高圧液体水素を使用できる,漏洩拡散や着火燃焼試験設備を設置しているようです.液体水素を取り扱う設備の安全基準の策定や水素ステーション用機器の開発に寄与する試験を実施してきたようです.
・MRI に水素を適用する実験
一般的にMRI 等の超電導機器の冷却に使用されているヘリウムを安価で冷却性能に優れる水素に代替することを目指す研究開発で,最大400 Aの大電流を液体水素中に安全に通電することができ,最大7Tの磁場下における超電導材料・機器の臨界特性を取得することができる設備が設置され,各種試験が行われているようです.
予定
NEDOの助成「水素社会構築技術開発事業/大規模水素エネルギー利用技術開発」で採択された民間企業が液体水素に関する実験を行う予定です.
事業の対象は,液体水素の運搬船から受入基地および発電設備への供給プラントの主要機器の開発です.
採択された企業のうち,株式会社IHI回転機械エンジニアリング(IRM),株式会社荏原製作所(EBR),東京貿易エンジニアリング株式会社(TEN)の三社については,JAXA と共同研究契約を締結し,2021年度以降に能代ロケット実験場において,液体水素を用いた性能評価試験を予定しているようです.
能代市
能代市は強みの「風力発電」と「JAXA能代ロケット実験場」などを活かして,先行して水素利活用の取り組みを進めるようです.大幅な市場規模の拡大が予想される水素関連産業への地元企業の参入や企業誘致につながる可能性が高くなると考えているようです.
アクセス
JAXA能代ロケット実験場
〒016-0179 秋田県能代市浅内字下西山1
東京駅→秋田駅 東北新幹線で約4時間30分
秋田駅→東能代駅 JRで約65分
東能代駅→JAXA能代ロケット実験場 タクシーで15分
合計5時間50分
所感
Googleマップでロケット実験場を見ると,半径1km以上に渡って海岸と森林が広がっており,液体水素を使った燃焼・爆発実験などの危険な実験はできそうだと思いました.デメリットがあるとすれば,関西や関東からのアクセスは非常に悪いと感じました.ホームページによれば、随時施設見学を受け付けているみたいなので、電話予約するのは良いと思いました。
参考文献
能代ロケット実験場における大型液体水素実証計画(2021年12月11日閲覧)
https://www.city.noshiro.lg.jp/sangyo/shogyo/14241(2021年12月11日閲覧)
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