JT 毎年10万円積立投資（配当金は再投資）していたらどうなっていたのか
概要
JTに投資(配当金は再投資)を行うと，貯金する場合よりも資産を大きくできる場合と，貯金より不利になる場合があることがわかりました．
もし2002年から毎年１０万円投資できれば，2020年には1か月あたり約1万9千円の配当金が受け取れることがわかりました．
背景
JT（日本たばこ産業株式会社）はタバコ・食品・医薬品・飲料を製造・販売する日本の会社です．
投資家の間では高配当銘柄として有名で，私も少額保有しています．しかし，最近では増配が停止し，株価も下がり気味で，私もJTに関して含み損を抱えています．
そこで疑問に思ったのですが，この銘柄をもし10年前，15年前から保有していたら複利効果によって含み益を得られるのでしょうか．
今回は，JTに毎年10万円を積立投資（配当金は再投資）していたらどうなっていたのか，計算して調べました．
投資条件
2002年から2020年，2005年から2020年，2010年から2020年，2015年から2020年までそれぞれ毎年10万円積立投資（配当金は再投資）をした場合，保有株の評価額はいくらになるのか，過去の株価と一株あたりの配当金を元に計算しました．また，配当金を再投資しない場合も計算しました．
10万円を投資するタイミングは毎年最初の権利付き最終日とし，終値で買えたとします．
再投資について，配当金は配当金支払期日に受け取れたとします．配当金支払期日の終値で配当金を使って株を買えたとします．税金と手数料は考慮しません．
使用する過去データは，次章に記述する株価と一株当たりの配当とします．
使用データ
表１と図１に2002年から2020年までのJTの株価推移を示します．2006年4月1日に1株を5株の割合で、また2012年7月1日に1株を200株の割合で株式分割を実施しており，比較のため、2011年度以前の株価・配当金については分割後換算して表示しています．
株価推移を見ると近年では株価は下落していることがわかります．配当は増加傾向であったことがわかります．
配当利回り計算は支払期日の終値を用いて計算しました．
配当利回りは，株価下落と増配により上昇傾向であったことがわかります．
表1 2002年から2020年までの配当利回り
図1 2002年から2020年までの株価終値推移・配当利回り推移
計算結果
2002年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
表2と図2に2002年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合の保有株評価額の計算結果を示します．2020年9月には3,151,328円となります．再投資しない場合は，2020年9月には2,135,295円となります．
2002年から毎年10万円を貯金した場合は1,900,000円貯まりますので，貯金するより投資（配当金は再投資）をした方が約1.6倍資産を大きくできることがわかります．
表2 2002年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
図2 2002年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合と再投資しない場合，貯金をした場合の比較
2005年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
表3と図3に2005年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合の保有株評価額の計算結果を示します．2020年9月には1,900,556円となります．再投資しない場合は，2020年9月には1,360,379円となります．
2005年から毎年10万円を貯金した場合は1,600,000円貯まりますので，貯金するより投資（配当金は再投資）をした方が約1.2倍資産を大きくできることがわかります．
表3 2005年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
図3 2005年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合と，再投資しない場合，貯金をした場合の比較
2010年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
表4と図4に2010年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合の保有株評価額の計算結果を示します．2020年9月には1,111,401円となります．再投資しない場合は，2020年9月には849,248円となります．
2010年から毎年10万円を貯金した場合は1,100,000円貯まりますので，貯金と投資（配当金は再投資）では大差がありませんでした．
また，貯金と投資（配当の再投資無し）では，貯金した方が資産が大きくなることがわかります．株価の下落の影響を受けていると思われれます．
表4 2010年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
図4 2010年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合と再投資しない場合，貯金をした場合の比較
2015年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
表5と図5に2015年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合の保有株評価額の計算結果を示します．2020年9月には445,153円となります．再投資しない場合は，2020年9月には383,180円となります．
2015年から毎年10万円を貯金した場合は600,000円貯まりますので，投資（配当金は再投資）するよりも貯金した方が資産が大きくなることがわかります．連続増配や複利効果よりも株価下落の影響が強いと考えられます．
また，貯金と投資（配当の再投資無し）でも，貯金した方が資産が大きくなることがわかります．株価の下落の影響を受けていると思われれます．
表5 2015年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合
図5 2015年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合と再投資しない場合，貯金をした場合の比較
計算結果を１つのグラフにまとめてみる
図6に各期間の計算結果をまとめて示します．2002年から積立投資（配当金は再投資）を行った場合が，保有株の評価額が一番大きくなることがわかりました．また，2005年から積立投資（配当金は再投資）をすると，2002年から貯金した場合と同じ程度の資産が得られることがわかります．
図6 計算結果まとめ
2002年から2020年まで，毎年10万円を投資（配当金は再投資）した場合に受け取れる配当金
表6，図7に2002年から積立投資(配当金は再投資)した場合に受け取れる配当金を示します．2020年は合計で約23万円を受け取れることがわかりました．1か月あたり約19,000円受け取れることがわかりました．
表6 2002年から投資(配当金は再投資)した場合に受け取れる配当金
図7 2002年から投資(配当金は再投資)した場合に受け取れる配当金
まとめ
2002年からのデータより，JTに積立投資(配当金は再投資)を行うと，貯金する場合よりも資産を大きくできる場合と，貯金の方が有利な場合があることがわかりました．
もし2002年から毎年10万円投資できれば，1か月あたり約1万9千円受け取れることがわかりました．
今回の計算より，配当再投資（複利効果）や連続増配よりも，株価下落の影響の方が大きくなる場合があることを学びました．
参考文献
https://tofinfree.com/2020/01/11/reason-of-do-not-sell-jt/，2020年10月10日閲覧
たばこ産業を取り巻く状況，財務省，2020年10月11日閲覧
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